天災と人災

久しぶりにNEW MODELを作ったのでさっそく川に持ち出し使ってみることにした。

向かった先は栃木県日光市を流れる川で、毎年この時期に様子を伺いに行くことにしている。
釣行日が平日だったからか、いつもの入渓点付近に釣り人のものらしき車は停まっていなかった。
ただ平日とはいえ解禁して間もないこの時期、すでに午前10時にもなろうかというこの時間にただの一人も釣り人がいないということは魚が釣れないということでもある。

そして予想はしていたがこの川も昨年の台風19号で流れが大きく変わっていた。
以前の大雨被害以来やっと流れに変化が出てきたと思っていたのに、ことごとくポイントは土砂で埋められていた。
半ば諦め気分でロッドを振り始めたが、釣り始めて1時間が経とうとした頃、見覚えの無い小さなポイントから元気よく魚が出てきた。20cmほどのヤマメで、魚体の感じからして成魚放流の魚ではなさそうだ。昨年の台風にも耐え生き残ったのだろう。「もう誰にも見つかるなよ、生き残るんだぞ!」とそっと流れに返した。先に言っておくがこの日釣れたのは結局この一匹だけだった。

一つ目の堰堤を越え次の区間に入る。この先もう一つ堰堤を越えて三つ目の堰堤までが予定のコースだ。
ここからの区間は川の側に車で入ってくることが難しいのか、いっさい放流はされていないようだ。ただその分釣れるヤマメは皆ヒレピンで美ヤマメばかりなのだ。しかしまぁそれは釣れればの話である。
というのは、たしか2012~2013年頃?だったと記憶しているが、秋に大雨がありずいぶんと川が痛めつけられた。その後年々魚影が回復し2016~2017シーズンまでは良く釣れるようになった。ただ2018シーズンになり解禁当初から腰にビクを付けて長いノベ竿を持った釣り師を見かけるようになると、見る見るうちに魚が減っていった。そうしてまた2019年には釣れない川になっていたのである。

漁協の放流もなく、全く機能を果たしていない魚道が設置された堰堤で挟まれた区間の魚を根こそぎ釣ってしまえば、もう釣り場としての体裁を保つこともできない。どんなに水生昆虫がハッチしようとも、もうヤマメのライズを見ることも出来ないのだ。結局ただの一度もフライを見に来る魚さえいなかった。
今シーズン僕が再びこの区間を釣ることはない。しかしヤマメたちは天災と人災という二つの災難に耐えながら、それでも種を存続させようといずれこの流れに帰ってくるはずだ。僕はいつかヤマメが復活することを信じて来年またこの川を訪れることにしたいと思う。

ロッドの仕様は、7フィート3インチ3ピース。
ブランク材は淡竹なのでトンキンに比べ軽量だが、さらなる軽量化と軽快なアクションを狙ってバットとミドルを中空構造にしてミディアムややスローという感じに仕上がった。適合ラインは3番でいいと思う。

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