2024今年の湯川は!?

湯川というのは栃木県民の誇る日光地域の最上流、奥日光の戦場ヶ原を流れる日本におけるフライフィッシング発祥の地とも言われる川である。そもそも魚の住んでいなかったらしい湯川はスコットランドあたりの川と景色が似ているらしく、あの長崎のグラバー邸で有名なトーマスグラバーが自分たちがフライフィッシングをしたいがために私財でアメリカからブルックトラウトの稚魚だか発眼卵だったかを輸入して放流し、釣りをしたのがきっかけだそうである。もう少し詳しく知りたい方は、「日光鱒釣紳士物語」という本を読むことをお勧めします。

僕が初めて湯川で釣りをしたのは22~23年前だと思う。その頃の湯川はキャッチアンドリリースという規則はなかったし、定期的に魚の放流もあったので最上流の湯滝下から最下流の竜頭ノ滝のやや上流にある温泉パイプというところまで、満遍なく魚がいた。
しかしキャッチアンドリリースという規則ができ放流を一切行わなくなると、やはり魚たちは住みよい所に集まるようで、鬱蒼とした森の中を蛇行しながら流れ水生昆虫も多い、上流域に集まるようになってしまった。(これは僕の見解なので?)
僕は中流域と言われる戦場ヶ原をゆったりと流れる明るい湯川の流れが好きで、魚が少ないのを承知で毎年中流域での釣りを楽しんでいるのだが、あまりに釣れなすぎて(魚の姿もライズも無く)上流域に行って釣り人としての欲求を満たすこともある。

赤沼橋から上流を見る(5月下旬)

そんな僕の好きな中流域は、シーズン当初(湯川は5月1日解禁)は少ない魚影がさらに少なく季節が進むにつれ魚たちがどこからか(上流から?)やって来るというような感じで、魚の少ない中流域に釣り人たちは見向きもせず赤沼茶屋で釣り券を購入すると皆ビューンと車を飛ばし湯滝駐車場へ向かうというのが通常の湯川の釣りである。

6月初旬の青木橋付近の流れ。写真中央の対岸でライズを見つけるが結局釣れず!

そんな中流域が今年は少し様子が違いシーズン当初から魚が濃いのである。いや実は3年くらい前から魚が多くなり始めたように思うのだがはっきりとしたことは分からない。とにかく中流域が大好きな僕はシメシメと釣り人の少ない場所で悠々と楽しんでいたのだが、SNSの普及もあって恐ろしいことに釣り人たちがあっという間に増え、平日だろうと関係なくやって来て木道を行ったり来たりしているのである。これは確か湯川がまだ放流していた頃に見た景色と同じで、あの頃に戻ったようである。
そして当然のことながら釣り人が増えれば魚も釣られる機会が増え、これまたあっという間にスレてしまうのだ。幸い湯川はC&Rだし、マナーの良いほとんどの釣り人は魚を釣ってもリリースしているので魚は簡単に減りはしないと思うのだが釣りは難しくなる。
先日も湯川で釣りをしたのだが6月にしては随分と難しかった。時々ライズはしているのだがどんなフライにも見向きもせず、そのスレっぷりと来たらフライを一つ交換するのにもかなり時間がかかるようになった私には修行のようであった。

小滝のやや下流「崖崩れ下」で釣れたブルックトラウト

 

ということで今年は愛着のある中流域での釣りを諦めて、上流域の穴場とも言える小田代橋付近に遠征しようかと思う。台風で崖が崩れ木道が流されたままになっている小滝の下流にはゲリラ的に釣り人しか入らず、湯滝から小滝までの釣り人銀座区間でウンザリするよりハイカーさんのいない静か(寂しい)な場所で近年増えているクマと以前からいっぱいいるニホンザルの恐怖にさえ勝てれば湯川での楽しい1日をすごせるのではなかろうかと思うのである。

おわり

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