竹竿屋の幸せ

この大イワナの写真はもちろん僕が釣った・・・ものではない。
先日ユーザーの方が送ってくれたもので、体長が36cmということだが良く肥えてとにかく太い。
さぞかし重かったことだろうと思う。流心に入られてヤバかったそうだが、ロッドものされずしっかり取れたとお褒めの言葉をいただいた。もちろん、こちらは釣った人の腕が良いのだとお返しをするのだが、そんな褒め合いをするのも幸せなことである。

SNSをやっていると他人の釣った魚の写真を目にすることがよくある。僕自身も何かの節目の折りには釣った魚の写真を投稿することがる。ただ釣った本人にとってそれがどれほど感動的であったのかがネットに横たわった魚から感じらることは少なく、他人の釣った魚はほとんど記憶には残らない。
ただし、ロッドビルダーをやっていると自分が作ったロッドで釣れた魚の写真は別物である。ピンと張ったラインに美しい弧を描くロッドを想像し、その時の川の様子、釣り人の動きを妄想してはニヤニヤとしてしまう。まるで自分がその場にいたかのように・・・

ほとんどのロッドビルダーは釣り好きが高じてこの道をえらんだのだと思う。僕もそうだ。
だから自分自身が良い釣りが出来たとき、納得のいく一匹に出会えた時に幸せを感じるのは当たり前のこと。しかしビルダーとしては、このようなユーザーさんからの吉報は、他人が釣った魚であるにもかかわらず自分が釣った魚の写真を見るよりずっと嬉しいし、そしてなによりホッと安堵するのである。

最後に、この大イワナを釣ったロッドは7フィート3インチ#4。ユーザーさんの希望でバットにパワーは持たせたが、これほどの大物を釣っていただけるとは考えていなかった。

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